ソフトウェアライブラリは自由に利用ができ、SonicBoardの回路図は、Quadceptプロジェクトファイルとして公開されています。これによりユーザーがファイルを直接編集できるほか、SonicBoardを使用して開発を行い、後にその設計をQuadceptで開発した他のプロトタイプ基板とマージすることが可能です。
nRF9160 SiPはグローバルなセルラーIoTアプリケーション向けに開発された認証取得済みのSiPで、RFフロントエンド(RFFE)、GPS、およびパワーマネージメントを備えたマルチモードのLTE-M/NB-IoTモデムがコンパクトなパッケージに組み込まれています。64-MHz Arm® Cortex®-M33プロセッサには、1MBの Flashと256KB RAM、様々なアナログ/デジタルのペリフェラル、自動化された電源およびクロック管理、Trusted Execution用のArm TrustZone™、アプリケーション層セキュリティ用のArm CryptoCell 310を備えています。プロセッサはBSDセキュアソケットAPIを介してLTEモデムと通信し、 アプリケーション層プロトコル(CoAP、MQTTもしくはLWM2M等)およびアプリケーションをサポートします。nRF9160 SiPのLTEモデムはSIMとeSIMの両方に対応しており、700~2200MHzのLTEバンドのサポート、23dBmの出力電力、50ΩのシングルピンアンテナおよびUICCインターフェイスを提供します。LTEスタックレイヤーL1-L3、IPv4/IPv6、TCP/UDP、TLS/DTLSはモデムファームウェアの一部です。
nRF9160 SiPは低電力運用に最適化されており、PSMおよびeDRXの省電力モードに対応しています。たとえば、12時間ごとに1KBをアップロードするPSMモードでの平均電流は5.5µA、スリープモードでの平均電流は最大で2µAです。nRF9160 SiPの対象アプリケーションとしては、アセット・トラッキングやスマートシティ、スマート農業、インダストリアル、スマートメーター、ウェアラブル、医療があげられます。
Braveridgeの代表取締役社長である小橋 泰成氏は次のように述べています。
「NordicのnRF9160 SiPの登場により、LTE-M機器の開発リードタイムの劇的な短縮を実現できます。今後LTE-Mデバイス開発では、nRF9160が主流となるに違いないと当社では考えています。nRF9160はLTE-Mの製品開発に革命をもたらします。これまでのUART割込対応やコマンド解析に左右され多数のバグフィックスに苦悩する開発から完全に開放されました。nRF9160の開発では、外部MCUも不要となり、UARTの割込対応やコマンド解析も一切不要です。開発者は作りたいアプリケーション開発に集中でき、デバッグに時間を取られる事が大幅に削減します。そして、そのサイズ、価格、低消費電力性能、高度な回路集積、マルチモード機能、少ない周辺部品とどれをとってもすべてがテクノロジーの最先端です。」
「ソフトウェアの観点から言えば、普段からファームウェアを開発しているエンジニアは、対応しているZephyr リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)を使うことで、非常に簡単に開発を行えるようになります。これにより、ファームウェアのバグや想定外の出来事から生じる問題を大幅に低減できます。」
また、Braveridgeでは「FBV-EVK-CN52840CFSLR」および「FBV-EVK-CN5210S」のSonicBoardの発売も発表しています。それぞれのモデルにNordicのnRF52840マルチプロトコルSoCとnRF52810マルチプロトコルSoCを搭載した同社のモジュールを採用することで、Bluetooth Low Energy(Bluetooth LE)による無線接続を実現します。