Nordicは、SoCの量産と同時に開発ツールを提供するため、エンジニアは最新バージョンのnRF5 SDKを使用して、nRF52810 SoCとS112 SoftDeviceの開発/デザインをすぐに開始することが出来ます。nRF5 SDK v14.1は量産に対応した開発ツールであり、nRF52810 SoCのペリフェラルドライバをすべてサポートしています。またnRF5 SDKにはIPv6 over Bluetooth LE adaptation layer(6LoWPAN)と完全なインターネットプロトコル(IP)スイートを含め、以前のIoT向けnRF5 SDKの機能が組み込まれています。この機能によってnRF52810 SoC Bluetooth LEアプリケーションはIPv6をネイティブでサポートし、IPベースのネットワーク経由で接続されている「モノ」と直接通信することができます。nRF5 SDKには組込み型アプリケーションの管理、構築、テスト、および展開を行う、完全なオールインワンソリューションであるSEGGER Microcontroller’s ‘Embedded Studio’ も含まれています。
nRF52810は基本的なBluetooth 5 SoCであり、より小さなメモリ割り当て、ペリフェラルセットもわずかに縮小されていることによって価格性能比を高めています。このペリフェラルセットにはADCとアナログコンパレータ、PDMデジタルマイク入力(x1)、4チャンネルPWM(x1)、SPI(x1)、I2C(x1)、UART(x1)、およびQuadrature Decoder(x1)が含まれています。このSoCにはARM M4 MCUが内蔵され、他のnRF52シリーズのSoCに使用されている組み込み型プロセッサと同様な計算パフォーマンスとDSP機能を実現しています。nRF52810 SoCにはnRF52832 SoCと同じ、100dBmリンクバジェットの2.4GHzマルチプロトコル無線(Bluetooth 5/ANT/2.4 GHz独自仕様)が搭載され、同様のRFパフォーマンスを実現しながら消費電流は0dBmのTxと1MbpsのRxでそれぞれ4.6mAに削減されています。無線出力は最大+4dBmまでブースト可能です。パッケージは6x6mm QFN32と5x5mm QFN16の2種類があり、2.5x2.5mm WLCSPも近々に提供開始予定です。
Bluetooth 5が従来の規格と比較した場合に持つ主な優位性には、Bluetooth 4.2と比較して2倍のオンエアのデータ帯域幅、およびアドバタイジングエクステンションによるブロードキャスト容量の8倍増があり、後者はアドバタイジングパケットペイロードのサイズを251バイトに拡大することによって特にビーコンアプリケーションにおいてより効率的なデータ伝送に貢献します。
NordicのプロダクトマーケティングマネージャーであるJohn Leonardは次のように述べています。
「nRF52810 SoCとS112 SoftDeviceは、他のnRF52シリーズのラインナップを補完する製品であり、またどれほどシンプルなアプリケーションであってもBluetooth 5によるワイヤレス接続機能を製品に搭載することを可能とします。」
「また量産グレードのSDKが同時に提供されるため、シンプルなアプリケーションにおいてはこれまで現実的でなかったワイヤレスのパフォーマンスと機能を組み込めるようになり、このことを活用できる新たな開発者が数多く生まれると期待されます。nRF52810の登場以前には、このような開発者が使えるデバイスは、最も恵まれた場合であってもごく限られたFlashと、より多くの場合にはわずかなROMのみしか使えないBluetooth 5以外のものに限られていました。そのためアプリケーションの複雑さが制約され、スループットや共存性が犠牲になり、またセキュリティや使いやすさを改善するはずのOTA経由のアプリケーションアップグレードも不可能でした。」