Nordic Semiconductor、低消費電力IoTアプリケーション向けに 世界初となるデュアルArm Cortex-M33プロセッサの無線SoCを発表

nRF5340は、プログラマブルな超低消費電力ネットワークプロセッサと高性能アプリケーションプロセッサを統合し、高度な信頼の基点(root-of-trust)とトラステッドな実行セキュリティ機能を備えた、低消費電力のマルチプロトコルSoCで、プロ仕様の照明、産業オートメーション、先進のウェアラブルといった複雑なIoTアプリケーションに対応

超低消費電力無線ソリューションのリーディング・プロバイダーであるNordic Semiconductor(OSE:NOD、以下Nordic)は本日、次世代のnRF5シリーズSoCの最初の製品としてハイエンドのマルチプロトコルSystem-on-Chip (SoC) nRF5340™を発表しました。nRF5340は、世界中で採用され多くの実績のあるNordicのnRF51およびnRF52シリーズのマルチプロトコルSoCをベースとしており、高度なセキュリティ機能を搭載したフレキシブルなデュアルプロセッサのハードウェアアーキテクチャを新たに導入しています。nRF5340は、Bluetooth® 5.1/Bluetooth Low Energy(Bluetooth LE)、Bluetooth mesh、Thread、ZigBeeをはじめ主要なRFプロトコルをサポートしています。

nRF5340 SoCは、動作周囲温度105℃に対応し、マルチプロトコルサポートと高度なセキュリティ機能を備えているため、プロ仕様の照明や産業アプリケーションに最適です。512KBという大容量のRAMに適合した高性能アプリケーションプロセッサにより次世代の先進的なウェアラブル用途に最適です。QSPIペリフェラルは、96MHzで外部メモリにインターフェースを提供できるよう拡張されており、32MHzのHigh Speed SPIペリフェラルは、ディスプレイや複雑なセンサーとのインターフェースを提供できるよう統合されています。
 
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nRF5340およびnRF Connect SDKの統合により、これまでは不可能であった無線アプリケーションを開発者が構築しやすくなります
Nordic の製品管理部長であるKjetil Holstadは次のように述べています。

nRF5340は、Arm CryptoCell-312、Arm TrustZone® テクノロジーとSecure Key Storageを組み込むことにより最高水準のセキュリティを実現しています。Arm CryptoCell-312により、最も一般的なインターネット暗号化規格がハードウェアアクセラレーションとなり、Arm TrustZoneは、シングルコア上にセキュアおよび非セキュアなコード実行エリアを作成することで、トラステッドなソフトウェア向けにシステム全体のハードウェア分離をもたらします。nRF5340の統合されたセキュリティ機能により、悪意のある攻撃からSoCを保護しながら、高度な信頼の基点(root-of-trust)とセキュアなファームウェアアップデートを実現します。

nRF5340は、デュアルArm® Cortex®-M33プロセッサをベースとしています。専用の1MBのFlashと512KBのRAMを搭載した高性能アプリケーションプロセッサは最大128MHz(510 CoreMark)で動作し、専用の256KBのFlashと64KBのRAMを搭載したプログラマブルな超低消費電力のネットワークプロセッサは64MHz(238 CoreMark)で動作します。強力なアプリケーションプロセッサは、効率性が高く(65 CoreMark/mA)、8KBの2ウェイのアソシエイティブキャッシュを搭載しており、DSPおよび浮動小数点に対応し、電圧および周波数のスケーリングオプションを備えています。このアプリケーションプロセッサは、Arm Cryptocell-312とArm TrustZone、Secure Key Storageの高度なセキュリティ機能を統合し、NFC、USB、QSPI、High Speed SPIといった様々なインターフェースのペリフェラルに対応しています。プログラマブルなネットワークプロセッサは、さらに効率的(101 CoreMark/mA)で、無線通信中の低消費電力および低デューティ・サイクルの接続されたセンサーのデータ読み取りに最適化されています。ネットワークプロセッサはプログラマブルで、独自仕様の2.4GHzプロトコルの最適な実装を行うことができ、nRF51およびnRF52シリーズの移植性を確保します。

nRF5340は、TX電流が3.2mA(0dBmのTX電力、3V、DC/DC)でRX電流が2.6mA(3V、DC/DC)の電力が最適化された新しいマルチプロトコルの2.4GHz無線を組み込んでいます。スリープ電流はわずか1.1µAです。Bluetooth LEおよびBluetooth mesh、Thread、Zigbeeをコンカレントサポートするダイナミックマルチプロトコル対応で、スマートフォンからBluetooth LEを使用して、メッシュネットワークとのプロビジョニング/コミッショニングとインタラクションを実現します。無線は、Bluetooth 5.1 Direction Finding(方向検知)機能にすべて対応します。nRF5340は、1.7~5.5Vの供給電圧範囲で動作するため、充電式バッテリーやUSBから電源供給ができます。32MHzと32.762kHzの両方の水晶XTAL負荷コンデンサの統合により、NordicのnRF52シリーズに比べて必要な外部コンポーネント数を4つ減らすことで、部品点数(BOM)もソリューションサイズも削減されています。

nRF5340のソフトウェア開発キットであるnRF Connect SDKは、Zephyr RTOS、Bluetooth LEプロトコル・スタック、アプリケーションサンプル、ハードウェアドライバを統合した完全なソリューションを提供します。nRF Connect SDKは、nRF9160 SiPをベースとした製品開発において実績のあるソリューションです。これにnRF5340のサポートが加わることで、低消費電力のセルラーIoTと低消費電力の短距離無線の開発が統合されます。nRF Connect SDKは、GitHub上で公にホストされており、Gitによってソースコードが管理され、SEGGER社のEmbedded Studio IDEの無料サポートも備えています。また、Nordicでは、nRF5340向けの手頃な価格のシングルボードのプレビュー開発キットであるnRF5340 PDKも発表しています。nRF5340 PDKでは、nRF5340の機能とGPIOをすべての開発者が利用可能で、このSoCのプログラムとデバッグを行えるオンボードのSEGGER J-Linkデバッガが搭載されています。

Nordic の製品管理部長であるKjetil Holstadは次のように述べています。
「Bluetooth、Thread、Zigbeeといった低消費電力の無線技術は、IoTの不可欠な要素になっています。開発者は、Property Tech (Prop Tech)、位置情報サービス、医療、スマートホーム、産業IoTといった非常に複雑なアプリケーションをベースとした未来の製品開発にすでに取り組んでいます。このような用途では、高度なセキュリティを備えた高い処理能力が要求されますが、開発者は、Nordicのコンパクト且つ高エネルギー効率の無線ソリューションを求めています」

「nRF5340 SoCは、このようなニーズを満たすよう設計されています。nRF5340 SoCは超低消費電力無線におけるNordicの数十年にも及ぶ経験、この7年間のnRF51およびnRF52シリーズの開発とサポートから学んだ教訓、おそらく世界で最も経験豊富であると思われる低消費電力無線の研究開発チームによる数年間に及ぶ集中的な製品開発の最高到達点となるものです。nRF5340およびnRF Connect SDKの統合により、これまでは不可能であった無線アプリケーションを開発者が構築しやすくなります」

nRF5340 PDKは現在、Nordicの販売代理店経由で入手可能です。nRF5340 SoCのエンジニアリングサンプルは、GPIO 48本の7×7mm aQFNパッケージとして間もなく入手可能となります。