「mi.1 Cable」は、たとえば、MIDIキーボードと音源モジュールなど、これまでMIDIケーブルが使われていた接続をワイヤレス化します。MIDI機器やコンピュータ(USB-MIDIインターフェース)のMIDI端子とケーブルを差し込む代わりに、「mi.1 Cable」をそれぞれ端子に差し込むだけでワイヤレス接続されます。ペアリング済みの2個セットで出荷されるためペアリング操作も必要ありません。この接続方法により、双方向のMIDI通信が可能となり、ユーザーはワイヤレスでキーボードを演奏したり、MIDIシーケンサーで自動演奏を行なったりすることができます。
一方の「mi.1 II」は、電子ピアノとスマートフォンをワイヤレス接続し、様々なMIDIアプリが使用可能となります。
Piano Jukebox(無料)でピアノを自動再生したり、アップルGarageBand(無料)でギターやドラムなど、ピアノ以外の音を重ねて音楽制作したり、様々な楽しみ方ができます。当初アップルの独自規格だったBluetooth LE MIDIは、MMA(MIDI Manufacturers Association)で規格化され、いまではAndroidでもMIDIアプリをワイヤレスで使用可能です。「mi.1 II」では旧モデル(mi.1)で非対応だった、MIDIイベントに付与されるタイムスタンプに対応し、正確なタイミングでのMIDIシーケンス再生が可能となっています。現時点で、Bluetooth MIDIアダプターで、タイムスタンプに対応した唯一の製品です。
MIDI機器は、電源アダプターやバッテリーを必要とせず、「mi.1 Cable」および「mi.1 II」をMIDI端子に差し込むだけで使用できます。これは、Nordic SoCが超低消費電力であるという点も理由としてあげられます。nRF52832は、2.4GHzのピーク時RX/TX電流が5.5mAで、NordicのnRF51シリーズSoCと比較し消費電力を最大80%削減する完全自動電力管理システムなどの機能により、電力消費を最小限に抑えるよう設計されています。
NordicのnRF52832マルチプロトコルSoCは、浮動小数点演算ユニット(FPU)搭載の64-MHz 32-bit Arm®Cortex®M4プロセッサと、-96 -dB RXの感度、512KB Flashと64KB RAM の2.4GHzマルチプロトコル無線(Bluetooth 5.2、ANT™、および独自仕様の2.4GHz RFプロトコルソフトウェアをサポート)を備えています。 nRF52832 SoCには、高度なBluetooth LEアプリケーションを構築するためのBluetooth 5.2認証済みRFソフトウェアプロトコルスタックであるNordicのS132 SoftDeviceが付属されています。 S132 SoftDeviceは、セントラル、ペリフェラル、ブロードキャスター、オブザーバのBluetooth LEロールを備え、最大20の接続に対応しています。Insight SiPのISP1507は、nRF52832 SoCと、クリスタル、マッチング、およびアンテナを8x8x1 mmの小型のSystem-in-Package(SiP)モジュールに統合しており、「すぐに使用できる」認証済みのRFコンポーネントとして提供されます。
QUICCO SOUNDの代表取締役CEOである廣井 真氏は次のように述べています。
「『ISP1507-AX RFモジュール』を『mi.1 Cable』および『mi.1 II』に採用した理由は、ピアノ背面に取り付けるため基板を小さくする必要があり、他のモジュールでは配置できなかったこと、コンパクトでありながら無線感度は十分の性能を持っていること、そしてARM Coretex M4の演算能力と大容量メモリにより、複雑なMIDIタイムスタンプ処理対応が可能となったことがあげられます。技術的な問題に対応する開発者フォーラムの存在など、ユニークな顧客および開発サポートを提供しているという点も評価し、Nordicのソリューションを採用しています。」