超低消費電力無線ソリューションのリーディング・プロバイダーであるNordic Semiconductor(OSE:NOD、以下Nordic)は本日、PMICラインナップを拡張すべく、2023年半ばに3モデル目の電源管理IC(PMIC)を発売予定であることを発表しました。nPM1300により、大型バッテリーの充電と4本の安定化したパワーレールの両方に対応することが可能となり、NordicのPMIC製品ラインナップがさらに拡充されます。nPM1300は、効率性と小型(3.1 x 2.4mmのWL-CSPまたは5 x 5 mmのQFN)のパッケージに最適化されており、I2C互換の2線インターフェイスによるデジタル構成が可能になります。このデジタルインターフェイスにより、通常Bluetooth® Low Energy(LE)を組み込んだ設計の個別機能として実装されるシステム管理機能、たとえばハードリセットやバッテリー残量ゲージ、システムレベルのウォッチドッグ、電力ロスの警告、ブート失敗からの復旧などへのアクセスが可能となります。
NordicのPMIC担当製品ダイレクターであるGeir Kjosavikは次のように述べています。
「NordicがPMIC市場に参入したのは、既存の電源管理ソリューションが小型の低消費電力IoT用途に最適化されていなかったことが理由です。現在発売されているPMICでは、個別のコンポーネントを用いる重要な機能、すなわちPMICに本来存在していて、ほぼコストなしで実装可能な機能の実装が、設計者任せになっています。そのため、それらの機能を当社側で実装しました。製品の安全性を高め、バッテリーの電力を節約するための新たな手段となるオンチップ機能をご提供することで、当社のお客様に喜んでいただけるものと確信しております」
nPM1300は、Nordicの高性能ワイヤレスマルチプロトコルシステムオンチップ(SoC)であるnRF52およびnRF53シリーズを対象に、効率性の高い電源調整を行うことを目的として設計されています。4本の安定化したパワーレールと充電器を搭載したnPM1300は、nRF5340のSoCホストや複数の周辺機能(センサーなど)をベースとする小型で高性能なIoT製品に最適なPMICです。製品の例としては、先進的なウェアラブルデバイスや携帯型の医療用アプリケーションなどがあります。
nPM1300 PMICは4.0~5.5Vの外部電源で動作し、最低2.4Vのバッテリー電圧から動作可能です。2本のパワーレールは、電圧1.0~3.3V、最大電流200mAで構成可能な別個のDC/DC降圧コンバーターで安定化されます。残り2本のパワーレールは外部電源からの最大100mAの電流を切り替える負荷スイッチとして動作しますが、nPM1300から直接電力を供給された場合には低ドロップアウト(LDO)電圧コンバーターとしても機能します。LDOとして動作する際は、これらのパワーレールの出力は、最大出力電流50mAで、電圧1.0~3.3Vの間で設定できます。非安定化型の入力電圧もnPM1300からの出力として利用できます。
nPM1300は、最大800mAの充電電流に対応するリニア充電器により、1セルのLi-ion、Li-PolおよびLiFePO4バッテリーの充電機能をサポートします。終端電圧は3.5~4.45Vの間でプログラミング可能です。充電器には充電中のチップの上限温度をプログラミングすることができる自動温度調整機能が備えられており、どのようなシステム要件にも適応できるシンプルな温度管理が可能となります。
その他nPM1300には、NordicのPMICラインナップでは初となる先進機能が搭載されています。前述のシステム管理機能に加え、自動電流制限によるUSBポート検出機能(標準のUSBで100mAまたは500mA、USB-C PD(Power Delivery)で最大1500mA)、商用電源の接続が切れた場合にバッテリー電源へ自動で切り替える動的電源パス管理機能、正確な残量測定を行うための電圧・電流・温度監視機能、プログラミング可能なウェイクアップタイマーを持つ超低電流ハイバネートモードといった機能を備えています。また、nPM1300には3つのLEDドライバーと5つのGPIOも搭載されており、それらを転用することで、シリアルコマンドの代わりに緊急を要する制御機能の制御線として利用することが可能です。
nPM1300は現在限定的に試供品を配布中で、Nordicの販売代理店からの受注開始は2023年半ばを予定しております。