超低消費電力無線ソリューションのリーディング・プロバイダーであるNordic Semiconductor(OSE:NOD、以下Nordic)は本日、Bluetooth® Low Energy Systems-on-Chip(SoC)の第4世代となるnRF54シリーズの製品ラインナップに新たな製品が加わったことを発表します。2015年の発売以来、多くのお客様に莫大な数のSoCをご提供し、ご満足いただいてきたnRF52シリーズの後継機種が、nRF54Lシリーズです。
nRF54Lシリーズの最初のSoCであるnRF54L15は、次世代ワイヤレスIoT製品に最適な製品であり、医療/ヘルスケア、スマートホーム、産業IoT、VR/AR、PCアクセサリ、リモートコントローラー、ゲーミングコントローラー、その他多数のIoT用途をターゲットとしています。nRF54Lシリーズは、先日発表されたnRF54Hシリーズを補完するものです。nRF54Lシリーズは大量生産される製品からより先進的なデバイスまで幅広い分野に適用される一方で、nRF54Hシリーズはこれまでの機種では対応できなかったIoT製品に不可欠な優れた処理能力と大容量メモリを搭載しています。
NordicのCEOであるSvenn-Tore Larsenは次のように述べています。
「nRF54Lシリーズにより、Nordicは世界トップのBluetooth LE企業として、また一般的な低電力ワイヤレスIoTテクノロジーのトップ企業として地位を確立いたしました。当社の低電力ワイヤレス設計チームは世界有数のチームであります。そして研究開発投資への徹底したコミットメントに支えられた当社は、このテクノロジーで何が可能になるかを改めて再定義しました。今回の新シリーズにより、数多くのお客様がパフォーマンスを大幅に向上させ、最終製品のバッテリー稼働時間の延長と同時に、さらに革新的な設計を実現できると期待しています」
nRF54LシリーズにはTSMCの22ULL®(22nm)プロセス技術を用いて作られた新たなハードウェアアーキテクチャを採用している一方、nRF54HシリーズはGlobalFoundriesの22FDX®(22nm)プロセスで製作されています。2社のウエハーサプライヤーに投資することにより、Nordicはサプライチェーンの柔軟性を高めています。
Nordicのセールス&マーケティング担当EVPであるGeir Langelandは次のように述べています。
「Nordicは、新型コロナウイルスがもたらしたさまざまな課題から貴重なインサイトを得てきました。異なる地域にある2カ所の製造施設を戦略的に活用することで、当社はお客様と、お客様が行っているリスク緩和への取り組みに最終的に寄与するサプライチェーンの多様性の強化にコミットしています」
優れた処理能力と効率性
nRF54L15 SoCは、128MHzで動作するArm® Cortex®-M33プロセッサーを搭載しています。このプロセッサーによりnRF52840 SoCの2倍の処理能力でありながら、電力消費は低く抑えられています。この高い処理能力を支えるのは、複数のプロトコルを同時に実行するための十分な容量の1.5MBの不揮発性メモリと256KBのRAMです。
Nordicのプロダクトマネジメント担当EVPであるKjetil Holstadは次のように述べています。
「NordicのnRF52シリーズSoCは世界で最も売れたBluetooth LEデバイスであり、現在とそして未来の用途に対応するために、今一度ステップアップするときです。nRF54L15により、最新のBluetooth LE SoCが求めるパフォーマンス向上とメモリ増量、電力消費の低減を実現し、将来においてもお客様のニーズに応える選択肢を提供していきます」
次世代IoTのための先進のセキュリティ
IoTにおけるセキュリティの重要性の高まりを受け、nRF54L15 SoCには先進的なハードウェアおよびソフトウェアセキュリティ機能を搭載し、次世代IoTへの対応を保証しています。PSA認証を受けたIoTセキュリティ規格の中でも最高レベルのPSA認証レベル3に対応した設計となっており、Secure Boot、Secure Firmware Update、Secure Storageといったセキュリティサービスに対応しています。攻撃を検知して防御するタンパーセンサーのほか、サイドチャネル攻撃に対抗して強化された暗号アクセラレーターを搭載しています。
世界レベルのマルチプロトコル無線通信
nRF54L15には世界レベルのマルチプロトコル無線通信機能が搭載され、1Mbps Bluetooth LEでは最大+8dBmのTXパワー(1dB増分)と-98dBmのRX感度を実現します。この無線機能には当社だけの2.4GHzプロトコルを対象とする4Mbpsデータレートのオプションが新たに追加されており、スループットと効率とレイテンシが向上しています。また、Bluetooth 5.4の全機能、Bluetooth Mesh、Thread、およびMatterをサポートしています。この無線機能を搭載したのは、将来のBluetooth仕様のアップデートに対応するためでもあります。
無線機能の電力消費は、nRF52シリーズと比較して、TXとRXで大幅に向上しています。たとえばnRF52840 SoCと比較した場合、無線通信に使用される(1.8V DC電源からの)RX電流が半分になり、その結果大幅な省電力になるため、より小型のバッテリーの使用やバッテリー稼働時間の延長が可能となります。
その他の省電力機能
最も深いスリープモードからSoCを起動できる新しいグローバルRTC(リアルタイムクロック)ペリフェラルによりさらなる省電力が可能になるため、外部RTCが不要になり、長期間スリープ状態にあるアプリケーションの電力消費が大幅に低減します。この機能により、製品によっては複数年のバッテリー寿命が可能になります。
超小型パッケージ
nRF54L15は、31本のGPIOを搭載した6 x 6mmのQFNパッケージとして試供品をご提供中です。そのほか、32本のGPIO(300µmピッチ)と14本のGPIO(350µmピッチ)を搭載した2種類の2.4 x 2.2mmの超小型ウエハーレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)もございます。これらのWLCSPはnRF52840のWLCSPよりも50%小型になっているため、サイズ制約が厳しい設計に最適です。
一部のお客様にnRF54L15 SoCの試供品をご提供中です。ご興味のお客様には、www.nordicsemi.com/nRF54L15でご登録いただくと、製品の最新情報をお知らせいたします。詳細については、お近くのNordic営業担当者にお問合せください。